2012年 金星の位相変化

◎ 金星の満ち欠けと大きさの変化

2012年は、金星が大いに注目される年に当たります。金星が太陽面を通過(6月6日内合)していく太陽面通過や月が金星に隠される金星食
(8月14日)、そして今年は金星の東方最大離角、最大光度、内合、留、西方最大離角等、外合以外の諸現象が観測される絶好の年に
当たります。

 金星を望遠鏡で観察すると、下の写真のように満ち欠けをし、大きさも変わって見える。金星は、地球より内側を公転しているため金星は、常に太陽の方向に見える。金星は、公転軌道上の位置によって満ち欠けをし、地球からの距離によって見かけの大きさも下の写真のように変わる。
下の写真は、星のふるさと館の65cm望遠鏡に15cmの接眼鏡による拡大撮影をしたもので、倍率は全部共通。色の違いは無視して下さい。肉眼で見たときのように上下左右の向きを直して写真で示してあります。

3月4日 3月27日 4月29日 5月13日 6月24日
    7月10日      7月26日     8月16日       9月7日      10月25日


惑星(金星)の動きと見え方(2007年〜2009年)


◎ 明けの明星・宵の明星

 金星は、昔から「明けの明星」や「宵の明星」といわれ、親しまれてきた。金星は、いつも太陽の方向に見える惑星です。そのため日の出前の東の空か、日の入り後の西の空にしか見れない。真夜中には金星を見ることが出来ない。
下の写真の○の中の星が金星で、夕日(西の空)と朝日(東の空)の中に明るく輝く(-4.5等)金星を見ることが出来る。

宵の明星の金星
 星のふるさと館から直江津方面を望む
 撮影 2007年4月28日 夕方 7:16
明けの明星の金星
 上越市諏訪から東方向(関田山脈)を望む
 撮影 2007年9月15日 明け方 4:56



◎  昼間 肉眼でも見える金星

最大光度(−4.5等)の頃になると、肉眼でも金星を見つけることが出来ます。上の写真は、内合(2007年8月16日)から西方最大離角(10月29日)になる間の最大光度(9月24日)頃に撮影したものです。
下の丸い屋根は、星のふるさと館のドームです。

◎ 金星の動き

 惑星は、日にちがたつと恒星に対して前とは違う位置に見え、星座の中を動いているように見える。下の写真で確認をしてみよう。これは、地球が1年で1回公転しているのに対して、金星は約0.62年で1回公転しているためである。金星がおうし座(すばる付近)を移動している様子は、こちらをご覧下さい。
この公転周期の違いによって地球と金星の位置関係がたえず変化することになる。

2007/05/15 金星はふたご座のα(カストル)の足下に
光っている。2週間後が右の写真である。
2007/05/28 金星はふたご座のβ(ポルックス)の
頭の近くに移動している。左の写真よりは拡大してある。


太陽が昇ってくる1時間ほど前に金星がどのあたりに光っているかを、2007年
9月〜12月の間、同じ場所で撮影したものである。
太陽は、やがて東の空から昇ってくるが、金星の高度が9月〜10月にかけて次第に大きくなることは、地球から見た金星と太陽の離角が次第に大きくなることを意味している。10月29日が西方最大離角である。11月以降は、高度も低くなり、2008年6月9日に外合となる。
太陽が沈んだ後1時間後に金星がどのあたりに光っているかを2007年1月〜7月の間、同じ場所で撮影したものである。
太陽は地平線に沈んで間もないことから、地球から見て太陽と金星の間の角度が1月から5月にかけて次第に大きくなっていることが分かる。しかし7月〜8月に金星が太陽に近づいている(離角が小さくなる)ことも分かるであろう。


◎ 2012年3月〜11月の地球と金星の位置(順行・留・逆行)

地球と金星の公転周期の違いによって、左の図のように地球と金星の位置関係がたえず変化し、地球から見た天球上の金星の位置が変化することになる。
 2012年は、金星を観測する好機であった
(基準の春分点の方向は、右遠方)



データ
 2012/03/27 東方最大離角 46° 
 2012/05/16 留
 2012/06/06 内合(金環日食)
 2012/06/27 留
 2012/08/15 西方最大離角

◎  2012年3月〜9月までの金星の動き

2012年は、金星の大きさや見かけの形、それに星座間の金星の動きを観察するには、大変良い年で
あった。
4月3日前後にすばる付近を通解した金星は、おうし座付近で、留・逆行・留となって8月末にはふたご座まで移動した年であった。5月16日留になって逆行が始まり6月27日で留になって再び順行になった。